色々な出会いやきっかけで、トレーニングに対する考え方が少しずつ変わってきたのですが、その中でも1番考え方に変化を起こしてくれたのがPRIとの出会いかもしれません。
PRIは色々なコースがあり、奥も深く面白いこともあってこれまで8回受講しました。
PRIとは
PRIって何?と聞かれると簡単に説明するのにいつも困ってしまうのですが、
POSTURAL(姿勢)
RESTORATION(復元)
INSTITUTE(研究教育機関)
の頭文字をとったもので、ここからは私なりの解釈ですが、
「ニュートラリティーを獲得しましょう」
というものです。
ニュートラリティーとは、中立な状態で、
右にも行けるし、左にも行ける。
緊張もできるし、リラックスもできる。
曲げることもできるし、反ることもできる。
簡単そうに思えるかもしれませんが、これができていない人がほとんどなのです。
付け加えると、
『神経的なニュートラリティーを獲得しましょう』
ということだからです。
筋トレやスポーツで思いっきり動いた後、ちゃんと休息できる状態ですか?
わかりやすいことで言うと、どこかが痛いとか、正常範囲とされるところまで動かない箇所があるとすると、それは異常事態で、神経的に偏っている部位があるということの証明なのです。
肩こりや腰痛なんかもそうですね。
これを治すには、神経的なニュートラリティーを獲得するしかないのです。
PRIは、人体の左右非対称性、呼吸、脳神経を介しての筋肉の抑制や活性などから、神経的なニュートラリティーの獲得を目指すといったものです。
Ron Hruska
そのPRIの創始者がRon Hruskaさんです。
こんなことを1から考えられるなんて、どんな頭脳の持ち主なのだろう?と不思議でなりませんでした。
そして実際にRonさんに会った方々は、Ronさんの人柄を全員絶賛するのです。
とにかく優しさに満ち溢れていると。
PRIの本部はアメリカのネブラスカという田舎にあり、空港からタクシーに乗ると運転手から
「PRIに行くの?」と言われるそうです。
それくらい世界中から患者が集まり、またネブラスカには他に何もないのでしょう(笑)
Ronさんの行う治療を見てみたい、Ronさんの話を直接聞いてみたい、と思い続ける毎日でしたが、なんと2018年6月にRonさんが日本に初めてくることが決まり、頭蓋頚椎のコース「サービカル・レボリューション」を東京の帝京大学で開催するとのこと。
しかし、講義には通訳が入らず、英語でやりとりができる人のみの参加という条件でした。
英語、、、き、きびしい、、
ほぼ聞き取れないかもしれない、、、
でも、これは行くしかない!と思い、
申し込み開始時間10分前からPCの前に張り付き、サービカルレボリューションの受講権を勝ち取りました。
「サービカルレボリューション」
6月9、10、11日の3日間、東京の帝京大学で行われたのですが、最寄駅がなく、宿泊先のホテルとの往復が大変でした。
「おお、この目の前にいる人が、あのRon Hruskaかぁ」
と不思議な気持ちですらありました。
Ronさんはとても話します。とめどなく話します。ゆっくりで聞き取りやすいのですが、いかんせん英語なので頭から煙が出続けます。日本語でも煙が出続ける内容なのに、です。
Ronさんの治療は不思議の連続でした。
マウスピースを噛ませるだけで歩き方が良くなったり、頭蓋を少し触るだけでベッドから崩れ落ちるようにして立てなくなったりなど、驚きの反応を目の当たりにしました。
そして毎日講義が終わりホテルに帰ってからは、英語のテキストと戦う予習復習の夜。
3日間の最後に素晴らしい経験をさせてもらったお礼をRonに伝えると、
Ronは私の腰を抱き寄せ、長々と何か言ってくれました。が、テンパってたこともあり2割くらいしか理解できませんでした(笑)
「京都でのQ&Aセッション」
東京でのサービカルレボリューションの3日後、Ronは京都でQ&Aセッションという、みんなの質問に答える機会を設けてくれました。ここには通訳が入ってくれるとのこと!
もちろん参加してきました。
Ronさんは何故か私のことを気に入ってくれた(と思うのですが)ようで、この日もなんども握手やハグをしてくれました。
「東京では尊敬するあなたともっと話したかったのですが、なにぶん英語が苦手で、うまく話せずにすみませんでした。」
と伝えると、
Ronは
「あなたのような人がいて、ほんとに日本語が喋れたらと思いました。あなたは素晴らしい顔をしていて、素晴らしい個性を持っています。」
と嬉しいことを言ってくれました。
こういうことをさらっと言えちゃう人やから、みんな好きになるのでしょうね。
PRIの講師陣は若いのに全員頭脳明晰+英語ペラペラ。日本語すらたどたどしい私の日本語を、ケニーこと石井健太郎さんが素晴らしい翻訳力でRonさんに伝えてくれるのですが、質問の途中のRonさんの相槌が長く、なかなか質問しきれません(笑)
私は
「子供の発育発達に興味があり、子供はどのように生活やトレーニングをするのが理想と考えておられますか?神経的偏りや体の歪みなんかを予防する為には何に気をつけるべきでしょうか?
一緒に来日されてるRJさんという素晴らしい息子さんに対してリポジションやトレーニングなどは行ってきたのでしょうか?」
などを伺いました。
それに対するRonさんの答えは
「歯の健康が大事で、歯をリスペクトしましょう。そしてオーバーユース(使いすぎ)しないようにしましょう。歯にも左右というものがあり、脳にとって一番重要なものであり、それが発育発達にとても重要です。左右の乳歯から永久歯に変わる頃、あなたは左右2つの横隔膜があるということを理解しているべきです。足や筋連鎖も左右に1つずつあります。歯はそれを理解しています。なので私たちはその歯を使うことで左右に体を振ります。
そして歯を感じることによって、首や頭蓋が体の方向を定めることなく片方にとどまり、それによって人生が難しくなってしまう。(PRIで言うところの、パターンにはまってしまう)
なので、私たちは歯を抜かないで広げる必要があります。近年の歯医者はまだやってしまうことがあります。歯が狭いと抜きたがります。すると歯列がどんどん狭くなっていきます。
歯は人間の発育にとても重要で、呼吸に直接的な影響を持っています。
先日のサービカルレボリューションの3日間で、あなたがこのことについて学びたがっているのを私は感じていました。」
続けて私は、
「RJさんを育てる上で気をつけたこと、親の立場で子供の為に、PRIでカバーしていることで早期に始めてあげたほうがいいようなことが何かあれば、教えていただけますか?」
と聞いてみました。
Ronさんは、
「いろんなことを体験させましょう。
どんどん失敗させなさい。
愛してあげてください。
私の人生で一番大切なものはファミリーです。
私はあなたを愛しています。
パターンにはまらないようにしましょう。
いろんなところでリポジションをしましょう。
心地よくなってはいけません。いろんなことにチャレンジしなければいけません。
PRIは5つのことで形成されていると考えています。
inhibition(抑制)
inhalation(吸気)
isolation(孤立化)
internal rotation(内旋)
Integration(統合)
これらはファミリーで、これらを一緒にやる必要がある。
左と右の横隔膜がこれらを一緒にやる必要があります。」
もっと色々言ってくれてたのですが、こんな内容でした。
とても難しく感じるかもしれませんが、PRIに触れてきた人ならばRonさんが言わんとすることは感じれるはずです。
Ronさんの人間の深みは、こんなところからきてるのだろうなと感じました。
Q&Aセッションが終わり、荷物を片付けていると、
「RJとRonが玄さんと一緒に写真を撮りたいそうなので残ってください。」
とPRIスタッフから言われ、ややびっくり。
Ronさんは想像通りの、また会ってお話したいなと思わせてくれる、とても素敵な方でした。
サービカルレボリューションの受講後、目や噛み合わせの影響力のでかさを知り、トリガーポイントでは最近マウスピースや視覚矯正レンズなどを使い出しました。
もちろん効果は大きくでます。眼鏡レンズなどは自分の強みとして作成できるものの、マウスピースもまだまだ自作の精度が高くないので、今後しばらくの研究課題として取り組んでいきたいと思ってます。
セミナー開催のお知らせ
2018年12月8日、9日に近藤拓人さんによる
【呼吸と運動機能への統合的アプローチ:骨盤帯①/胸郭肩甲帯①】
を主催致します。
骨盤帯①では骨盤帯の機能評価をした後、運動により骨盤帯を適切な位置に誘導し、その位置で運動感覚を養い、腹筋群、下肢の筋群、骨盤底筋群など骨盤周囲の組織が高次の要求にも耐えうる状態をつくる方法を学びます。
胸郭①では胸郭肩甲帯の評価をした後、運動により肋骨、鎖骨、肩甲骨、胸椎、頸椎を適切な位置に誘導し、呼吸などの原始動作や胸郭肩甲帯に過負荷のかかる投球スポーツ等のストレスに対応できる状態をつくる方法を学びます。
※骨盤、胸郭肩甲帯、下肢、上肢、呼吸、感覚、脳と脳神経、末梢神経等の講座がありますが、骨盤帯①、胸郭①、呼吸①②は全ての講座の基礎となる内容ですので可能であれば他の講座の前にご参加ください。
※講座の半分の時間は運動療法の実技となりますので、動きやすい服装でご参加ください。基本的に録音、録画は不可ですが、講師による実技デモの撮影はOKです。
【12/8 骨盤帯①の主な内容】
・運動の生成:骨盤帯の役割
・グラウンディング/アーシング
・身体の構造的&機能的連動:運動連鎖、骨連鎖、多関節連鎖、筋膜連鎖について
・骨盤帯の機能解剖学(骨):腰椎、仙骨、寛骨、大腿骨、靭帯などの結合組織
・骨盤帯の機能解剖学(筋):骨盤底筋群、腹筋群、ハムストリング、内転筋群、殿筋群etc
・呼吸機能と骨盤帯の連動
・骨盤帯の機能不全による疾患・障害リスクと予防方法
・骨盤低筋群の評価と介入方法
・骨盤帯のポジション評価/改善法
・骨盤帯への徒手療法/運動療法
・レジスタンス・トレーニング:骨盤帯
・質疑応答
【12/9 胸郭肩甲帯①の主な内容】
・運動の生成:胸郭肩甲帯の役割
・身体の構造的&機能的連動:運動連鎖、骨連鎖、多関節連鎖、筋膜連鎖について
・胸郭肩甲帯の機能解剖学(骨):肋骨、鎖骨、肩甲骨、肩甲胸郭関節、肩関節、靭帯など
・胸郭肩甲帯の機能解剖学(筋):前鋸筋、腹筋群、僧帽筋群、菱形筋、鎖骨下筋etc
・呼吸機能と胸郭肩甲帯の連動
・胸郭肩甲帯の機能不全による疾患・障害リスクと予防方法
・胸郭肩甲帯のポジション評価/改善法
・胸郭肩甲帯への徒手療法/運動療法
・レジスタンス・トレーニング:胸郭肩甲帯
・オーバーヘッドスポーツに特異的な評価
・質疑応答
参照協会
Postural Restoration Institute
Carrick Institute
Z-Health
C.H.E.K institute
Dynamic Neuromuscular Stabilization
Buteyko Breathing
Janda approach
Low back Disorder/Ultimate Back Fitness and Performance
Movement Impairment Syndrome
Mouvement Naturel (MovNat)、その他
参照資料
Leon Chaitow:Neuroplastic Physical Medicine
Randy Beck:Functional Neurology for Practitioners of Manual Therapy
Explain Pain Supercharged:David Butler
筋骨格系のキネシオロジー
カンデル神経科学
JJ. ギブソン:生態学的知覚システム
ニコライ A ベルンシュタイン:デクステリティ 巧みさとその発達など
【目的/対称になる症状】
・痛み改善
・姿勢改善/アラインメント調整
・動作改善
・疲労回復
・婦人科系疾患の改善
・呼吸機能改善
・睡眠機能改善
・免疫機能改善
・冷え性・コリの改善、その他
講師 近藤拓人
WOW’D宮崎 テクニカルディレクター
全米アスレティックトレーナーズ協会認定アスレティックトレーナー(ATC)
NSCA認定CSCS
PRI認定PRT
DNS(動的神経筋安定化)認定トレーナー
ビュテッコ法認定セラピストその他
問い合わせ先:Kuge.Akinori@gmail.com
日程:12/8 骨盤帯①、12/9 胸郭肩甲帯①
時間:10:00~17:00(両日とも同じ時間です)
場所:大阪市北区堂山町1-5 三共梅田ビルB1Fレンタルスペース貸
会議室 地図URL https://goo.gl/maps/G7uhafeGYAJ2
参加費:16,200円(税込み)/短日 32,400円(税込み)/両日
定員:40名
対象:トレーナー、理学療法士、作業療法士、ボディーワーカー、インストラクター、学生、その他運動指導に関わる全ての方
近藤拓人さんのセミナーを受講されたことがない方は、この機会に是非どうぞ。