脳のこと、考えてトレーニングしてますか?


全ては脳に支配されているので、体を変えるのもまず脳を変えましょう、という話。

7月14、15、16日の3日間、世界のTKこと近藤拓人さんをお呼びして、【感覚統合/体性感覚・視覚・前庭覚と運動の統合】のセミナーを主催させていただきました。

感覚統合:体性感覚/視覚/前庭覚と運動の統合

2018/7/14,15に行われた、近藤拓人さんによる感覚統合:体性感覚/視覚/前庭覚と運動の統合セミナーの集合写真

後藤玄は撮影者であったため、風邪引いた子風に後付けさせてもらいました。
この私の掛けているメガネは、水平線を上げる様に細工された特殊なメガネです。

 

 

『感覚統合/体性感覚・視覚・前庭覚と運動の統合』

今回の会場は大阪リゾートアンドスポーツ専門学校。
近藤拓人さんのセミナーは超人気で、今回も定員50名を大きく上回るキャンセル待ちが出ました。
とにかく情報量が多く、最初に受講された方は、「トレーニングにこんな世界があるのか!」と感動することでしょう。
基盤となっているのはPRIやz-healthといった脳や神経学などで、普通に勉強するとなると難しい内容で頭から煙が出るところ、近藤拓人さんはそれはそれは上手に面白く話されるので感心するばかりです。笑いを高頻度に織り交ぜ、眠くなることが一切ないのがすごい。。。とにかく面白いです。

トリガーポイントで行うトレーニングもPRIの考え方を全面に取り入れてのプログラムですが、近藤拓人さんのお話を聞いてようやく理解できたという部分も多いです。
PRIを受講された方はお分かりかと思いますが、難しいじゃないですか。かなり考えさせられる。でも効果は高い。でも一般の方への説明に悩む、、、。
そんなあたりも解消されることも多いでしょうし、「脳、すげー!!!」ってなります。

治療家の方はよく経験されると思いますが、「右の腰と右膝と右肩が痛くて、、、」なんて方、多くないですか?
不調を訴える部位が全て同じ側という。
または、腰が痛くてマッサージしてもらって、楽になったけど帰りの道でもう痛くなり始めた、、、、なんてこと、よくある話です。

これはですね、脳がめちゃくちゃ関係しているからです!!!

脳が治らないと痛みは治らないのです。

脳が痛みを作っている

痛みは全て脳からの信号

痛みは脳が100%出しているので、痛いのは全て脳が関係しているのですが、「右の腰と右の肩が痛くて、、、」と言う場合、右脳を活性させるエクササイズ(眼球やベロを動かしたり、重心を左へコントロールしたり、などなど)をちょちょいとやるだけで、あら不思議。さっきの痛いのはどこへやら!?となります。
痛みの患部に触ることなく、痛みがなくなったり、動かなかった部位が動くようになったりするのは、痛みや動作は全て脳が支配しているからに他なりません。

今回の3日間では、目や耳などの感覚器を介して脳にアプローチする方法を学びました。

人間は左右で違う生き物なのに、左右同じようにトレーニングしててよいのでしょうか?

答えは「だめぇぇぇぇーー!!!!!」です。
左右の脳活動を考えながら運動をする必要があるのです!
運動処方をするトレーナーや治療家などのプロフェッショナルは、なおさらこのことを理解する必要があります。
さらに脳には半球間抑制というものがあり、左右どちらかの脳の同部位の興奮が反対側に伝わらないように抑制するということが起こりますので、同じ側ばかり使っていれば反対側はその分抑制されることになり、あまりに差が開いた場合に不具合が起きてくるのです。

9月29、30日に再び近藤拓人さんをお呼びし、大阪リゾート&スポーツ専門学校で

運動と感覚の統合:脳と脳神経

を、わたくし後藤玄が主催させていただくことになりましたので、
脳からの治療や運動介入にご興味がある方は是非いらしてください。

といっても現時点で残席5となっております。相変わらずすごい人気です。
申し込みはこちらよりお早めにどうぞ。<終了しました>

 

呼吸の教科書

近藤拓人さんは先日こんな本も出されてます。入門編として面白いですよ。

<人間は左と右を持っていることを理解する>

人間は圧倒的に右利きが多いですよね。それには理由があるのです。
むかーしむかしの頃、人間が狩猟生活をしていた頃なんかですと、上手に狩りをできた人達が食料にありつけ、生き延びてきたわけです。
例えば槍を投げて動物を仕留める場合、左右均等に投げるのがそこそこうまい人より、利き手のスペシャリストの方が仕留める確率が高いですよね。
脳は、その動作を繰り返すほどに神経ネットワークが構築されて上手になるので、精密動作を行う利き手が鍛えられる方が有利なんですね。

じゃあ何故、左利きではなく右利きが多いか?
人間はある時から右利きがものすごく増えたとされています。

それは言葉を話し始めた時からです。

人間の言語中枢は左脳にあります。
ですので、脳梗塞などの脳血管障害が右脳に起きた場合は、後遺症として言語障害が出にくいですが、左脳に障害が起きた場合、言語障害が併発しやすいです。

人間は言葉を操りだしたため、左脳優勢になり、結果として右利きが爆発的に増えました。
脳の活動が左右で違うため、体の左と右の役割が全然違うわけです。
もっと言うと、体は左右対称ではありませんよね?
まず内臓が左右対称ではありません。
大きく重い肝臓が右側にあり、心臓が中心より左にあり、それによって横隔膜も右は肝臓に支えられ、左は心臓により持ち上がりにくい状態で、そもそも横隔膜の筋肉の大きさや付着位置自体が左右で違うのです。言い出したらキリがないくらい左右で違うことだらけです。

人間の左と右は、かなり違うものなのです。

トレーニングも治療も運動療法も左右を考えて行わなければ逆効果になりかねません。

 

<10%の反対側への意識的出力と、90%の同側への無意識的出力>

脳は反対側の体を意識的に動かすことができます。
体の右側を動かす司令は、脳の左側「左脳」から出ています。
左脳梗塞などになると、右手右足が動かなくなります。
この「反対側の体を自分の意思で動かす」というのは、脳のたかだか10%の出力にすぎません。
ではあとの90%は何をしているのかというと、

同側の姿勢筋緊張を調節している

のです。

机の上のペットボトルを取ろうとして左手を伸ばすのは、右脳からの10%の能力で左手を動かすことができるんですね。
これは意識的な行動です。
右脳の残りの90%は、左手を伸ばすために必要な右半身の姿勢の維持、緊張を「無意識」に行っています。右側の姿勢の緊張がなければ、体は重くなった左側に倒れてしまいます。

つまり、右脳が活性していないと、右側の筋肉の緊張をコントロールすることができないのです。
ずーーーーっと筋肉が緊張しっぱなしだと、休憩できない筋肉はへばって痛み出します。

慢性的な痛みがコントロールできないのは姿勢の筋緊張がコントロールができないからで、
姿勢の筋緊張がコントロールできないのは脳活動の無意識の部分がうまく制御できていないからなのです。

意識的な部分は脳の機能の10%程度なのですから、90%の部分の無意識に介入したほうが得るものは多いですよね。
意識して心臓を動かしているでしょうか?
食べたものの消化を自分の意識で行えるでしょうか?胃液多めに出したろ!とかできますでしょうか?
無理ですよね。自律神経によってコントロールされているものは、自分の意識で動かせないのです。

無意識に、ずーっと長い時間、動かしているんですね。

PMRF

脳の出力の90%は同側の緊張を調節している

<緊張は生きて行く上で必須>

心臓の筋肉の緊張がないと、心臓が動かないので死にます。
呼吸するための筋肉が働かないと、呼吸ができないので死にます。
と、いう具合に、緊張が0やと即死です。
ですので、脳の中心部分の脳幹と呼ばれる部分から、

『常に緊張しろ!』

という信号が出ています。

これは生命維持の為に常に出続ける原始的な信号です。

でも、ずっと緊張してたら、へばってしまいます。
1日中、全力疾走し続けることって、できないですよね?

そこで脳の外側の大脳皮質という部分から

『そんなに緊張せんで、ええんやで』

という指令が出て、
この脳幹からの緊張の指令と、大脳皮質からの緊張抑制の指令が、うまいことマッチングして
身体はいい感じを保ててるんですね。

緊張は生きて行く上で必須なので、常に出続けますが、
脳の活動が落ちてくると、緊張抑制の指令がうまく出せなくなり、過緊張という状態に陥ります。

「そんなに緊張せんでええんやで」という指令がうまく出てなかったら、働いてる時もごはん食べてる時も就寝時も、ずーっとワニに食べられるかもしれないという緊張で体がこわばってるようなもんです。そりゃ腰痛くなるわ肩こるわですよね。

過緊張

後藤玄はワニが怖い。1日中ワニに狙われてると、過緊張で病気になります。

 

テストを行い、脳活動が低下しているサインが見られれば活性エクササイズを行い(過緊張をとる)、脳活動が過剰亢進してれば抑制エクササイズを行います。

また、脳のどの部分がうまく活動できていないか?脳のどの部分を活性させれば肩が挙がるようになるか?などと、視覚や聴覚や嗅覚や前庭機能などを評価し、介入します。

9月のコースでは、この脳の機能別、部位別、脊髄路別に、評価や活性&抑制方法を勉強できます。

脳はとにかく面白い!