ストレス耐性を上げる為に必要な4つの習慣(part2/2)


ストレス耐性を上げる為に必要な4つの習慣(part2)

前回からの続きです。(part1はこちら
しばらくの間、下書きが間違えてアップされてました。わけがわからん記事を読まされてた皆様、ごめんなさい。

改めまして、

2つ目

2・炎症をコントロールする

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炎症とは、有害刺激に対する生体の防衛反応です。
ぶつけて痛むのも、細菌感染して腫れるのも、アレルギー症状も、すべて炎症反応です。
異物や死んでしまった自分の細胞を排除して、生体の恒常性(内部環境を一定の状態に保ちつづけようとする作用)を維持しようという反応なのですが、
長期的な炎症は体にとって有害です。
糖尿病、動脈硬化、心筋梗塞なども慢性的な炎症が大きく関わっていることがわかっています。

体に慢性的な炎症があると、常時ストレスにさらされ、体はそのストレスとの戦いを常に強いられることになります。
その分、その他のストレスに対しての受け皿が小さくなってしまうのです。
炎症をコントロールし、体に炎症を少なくすることがストレス耐性を上げる意味でも重要です。

前回の記事のストレス耐性を上げる為に必要な4つの習慣のpart1でお伝えした様に、身体はストレスの種類を問わず、全てのストレスをまとめてストレスとして認識しているので、ストレスの受け皿が炎症によって小さくなってしまうことがストレス耐性の低下に繋がってしまうのです。

炎症は

  1. 栄養状態
  2. 免疫機能
  3. 脂肪の量
  4. 有酸素フィットネスレベル・血流量

に左右されます。

では、炎症を抑えるためには何に気をつけて、どうすればいいのか?
具体的に紹介していきます。

『気をつけたいこと』

まず、多過ぎる、または少な過ぎるカロリーは、炎症を増加させます。
適正体重から11kg以上の減量を必要とする人は炎症が多いと思った方がいいです。
そして精製糖、トランス脂肪等の食物は、炎症反応を引き起こすことが多く、たばこなどの刺激物も炎症反応を促進させます。
有酸素フィットネスレベルが低いと、炎症性物質が流されないため、炎症が長引くことも多いです。

『どうすればよいか?』

適正体重を確保しましょう。
そして刺激物は減らすor削除する。
有酸素運動を適切に行うことで有酸素フィットネスレベルを向上させます。
さらにサプリメントの摂取も効果的です。

  • フィッシュオイル
  • メチルコバラミン(ビタミンB12)
  • クルクミン

他にもいろいろありますが、上記のものは抗炎症作用があることが示されています。

特定のサプリメントの効果性を評価するには、後述します平均HRVで判断します。
ほとんどのサプリメントにおいて、もしそれが効果的であれば7~14日間で、平均HRVに変化が見られるはずです。

では3つ目です。

3・呼吸

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人間が1日に最も行う運動は、呼吸です。
1日に10000回〜15000回くらい呼吸しているんですね。
10000回スクワットしろと言われたら、もー脚ぱんぱんです。たぶん途中で出来ないです。
でも、呼吸は『途中で出来なくなった=死』 ですよね。
みなさん生きてこのBLOGを読んでくれてるということは、生まれてから今日まで呼吸を途中で失敗する日がなく続けてこれたということになります。

『息を吸って、吐いてください』
と言われると、その通り実行できますよね?
でも、言われる前から吸って吐いてと無意識にしてましたよね?
また意識的に呼吸をすることもできますよね。
そしてしばらくの間であれば呼吸を止めることもできますよね。

『心臓5秒止めてください』『胃液を10cc出してください』
と言われても、出来ませんよね。
心臓などの内臓は自律神経がコントロールしてるので、意図的に介入できないです。
呼吸だけが唯一、意識的にも無意識的にも行える人体の活動なのですね。

自律神経は意図的にコントロールできないですが、自律神経にも随意神経(自分の意思で動かす筋肉などの運動神経と感覚神経)にもコントロールされる呼吸に介入することで、呼吸を介して自律神経にアプローチできるのです。

緊張状態にあると、浅く速い呼吸になり、交感神経が優勢になります。
すると腰背部や肩に緊張が起こり、肩で息をするようになります。

そこで高ぶった気持ちを落ち着けるためには、腹筋群を働かせ、深く長い呼吸をすることで、副交感神経を優勢に持っていくことができます。

アメリカメジャーリーグのエンゼルスなどで活躍したピッチャーの長谷川 滋利さんは、中継ぎピッチャーとして緊張度の高い場面に数多く登板していましたが、マウンド上でこの呼吸のテクニックを使って自律神経の切り替えを行っていたそうです。
メンタルの強さとは、こういうことで作り上げられていくんですね。

呼吸がうまくいっていない = 自律神経のコントロールがうまくいっていない

ということになり、不要な身体の緊張はストレス耐性を下げることにもなります。
交感神経が優勢の状態では睡眠の質も悪くなります。
1日の終わりには緊張のスイッチをオフにして寝ることが大切です。
心身が緊張状態のままですと、睡眠という回復のサイクルがうまく作動しません。

トリガーポイントでは呼吸の重要性をしつこく話し、エクササイズ中の呼吸をとにかくうるさく言います。
動作中に息が止まってしまうのは代償動作です。
呼吸筋を姿勢維持筋として使ってしまってるのです。
そんなことではすぐに息も上がってしまいますし、過剰な努力ということで機能不全の判定を下さなければいけません。
呼吸トレーニングはストレス耐性をあげるためにも、健康のためにも、機能的動作のためにも超重要です。

呼吸が下手な人は、コアスタビリティ(体幹の安定)に欠けます。
コアスタビリティがなければ強い力が出せません。
ベンチプレスなど、背中に支えがあり、それほどコアスタビリティが必要でない状態だと高重量が挙がるのに、くぼみにはまって脱輪した車を押して脱出させるなどの動作になると、それほど力が発揮されない、、、なんてことになるんですね。

ちょっと話が逸れましたが、トリガーポイントで機能的な身体の使い方を学習しにいらしてくださいな。

では最後に4つ目

4・HRVスコアを向上させる

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HRVとはHeart Rate Variability の頭文字をとったもので、心拍変動を数値化したものです。

心拍数ではありません。心拍変動です。
昔はものすごくでっかい装置で、電極を身体中につけて、時間もかなりかけて計測していたそうですが、最近ではスマートフォンと専用のアプリ、フィンガーセンサーを使って、簡単に且つ安価で計測できるようになりました。
朝起きてすぐ、フィンガーセンサーを左手の小指の先に装着して2分30秒計測します。
トリガーポイントで取り扱いがございますのでHRVを計測したい方はお問い合わせください。

HRVは宇宙プログラム開発の一環として1950~1960年代にかけてロシアで開発されました。
人類初、宇宙空間においてYuri Gagarinが1961年に使用し、
心臓血管系医療及び研究において広範囲に利用され、何千ものリサーチジャーナルの記事として取り上げられてきました。
数多くの科学的様式によって、十分にリサーチをされているものなのです。

『HRVは何を私たちに教えてくれるか?』

簡単に言ってしまえば、自律神経機能の状態を教えてくれるものです。
特に副交感神経の基準を提供してくれます。

HRVは心拍変動を数値化したものです。
より高いHRVスコアは

  • 安静時におけるより優れた副交感神経機能
  • 全般的なストレスに抵抗する能力が高い(仕事許容量)
  • より高いレベルの好気性/有酸素フィットネス
  • 心血管系疾患/糖尿病リスク低減
  • より高いレベル自制能力
  • より高いストレス耐性

ということを意味します。

 また、HRVは下記に関連があることが示されています。

  • 脳血管障害による突然死のリスク
  • 総合的な寿命
  • 認識機能
  • インシュリン感受性
  • 炎症マーカー
  • 内臓脂肪
  • 有酸素フィットネスレベル
  • 疲労とオーバートレーニングのマーカー
  • パフォーマンス

私たちは、健康とストレス耐性をあげるためにも、より高いHRVスコアを目指す必要があるのです。

今よりも平均HRVスコアが向上しているということは、ストレス耐性も上がっているということです。
成果が数値となって目に見えるので面白いんです。

『特殊部隊リサーチ』

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軍隊のHRV研究で興味深いと思ったのものが以下です。

”基準値及びストレスに晒されている間の両方において、より良いストレス耐性を持つ個人は、有意に異なるHRVのパターンを表示することを発見した。

過去の調査では、エリート戦士のストレスに対する心理学的及び生物学的反応は、一般の戦士と著しく
異なることが公表されている。

これらのHRVの違いは、ストレスに晒されている間、及びその後の、実際の軍の認識神経心理学的テストのパフォーマンススコアの予測となる。”

兵士においてもHRVスコアが高いほど優秀なんですね。

『どうすればHRVのスコアを上げることができるか?』

についてはまた次回以降に書いていきます。長くなりましたので。

まとめ

ストレス耐性を上げるために重要なことを、トレーニング・炎症をコントロールする・呼吸・HRVスコアを向上させると4つに分類しましたが、多くにおいて栄養状態、炎症、自律神経、睡眠が被ってきますよね。
つまり全ては繋がっていて、どれも切り離すことができないことになってきます。

重要なことは、ただがむしゃらにトレーニングすればそれだけでストレスに強い人間になれるわけでもなく、瞑想に時間をとればそれだけで心が落ち着くのかといえば、科学的にはそんなことないということです。

HRV・心拍変動についてはまだまだ知っていただきたいことがあるので、後日アップいたします。

次回をお楽しみに。

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