ビジョントレーニングは何のために行うのか?


鶏が先か?卵が先か?なんて議論がありますよね。この世に最初に現れたのはどちらなのか?というやつです。
研究者の中では結果が出ていることなのかもしれませんが、不勉強な私はどっちか知らないです。
似たようなやつで、性善説や性悪説。
多分、どちらも柱とする考え方や研究方法で答えが変わるものなのかなと思います。知らんけど(←大阪人が語尾によくつけるやつです。スタッフの比田勝と話してると日常会話の100%に知らんけどがついてきます。)

さて、目はどうでしょう?
ビジョントレーニング

目が悪いからどんくさいのか?どんくさいから目が悪いのか?

疲れて体調が悪いので目がかすむのか?目が疲れてきて体調が悪いのか?

目が悪い為に球技が下手なのか?球遊びの経験が少ないから目が悪いのか?

挙げればキリがないくらいです。

あなたはどっちと思われるでしょうか?

僕の中では自分なりの答えが出ています。

「現場へのビジョントレーニングの導入 level 1」

というセミナーを、4月大阪と6月仙台でさせていただくことになりましたので、ビジョントレーニングについて書きたいと思います。

まずは首を軽くしてみましょう

首の左右回旋

左右差を確認


首を左右に回した時、どちらか行きにくい方向があるでしょうか?
つまり感や痛みなどでもいいです。
理由はいろいろあるのですが、人間は圧倒的に左に回りにくい人が多いです。
(理由は長くなるので割愛しますが、セミナーではお話させていただきます。)

ですのでここでは左に回りにくい人を対象として、以下のことをやってみてください。

1・右目を塞ぐ。
2・左目で何か文字や物体を見たまま、首を右へ水平に回す。(この時眼球は左へ行ってるのがわかりますか?)
3・できるだけ限界まで眼球を左に向けるべく、対象物を頑張って見る。
4・その状態でゆっくり1〜2回、深呼吸をおこなう。できればしっかり腹筋を感じられるくらいに息を吐く。

これ以上眼球が左へ向けないと思えるくらい、左端のものをしっかり見ようとしてください

終わったらもう一度首を左右に回してみてください。最初と比べて楽に動くことかと思います。
あまり変化を感じなかった人は首を右へ回す角度を変えたり(顎を引いたりあげたりして)、右目を塞がずに両目でやってみてください。

ビジョンに介入して筋緊張を落とした一例の紹介でした。

視力と視覚の違いとは?

視力は主に静止視力のことを指し、学校の視力検査で測るやつですね。
黒板の文字がどれくらい見えているか?などの為に重要になります。
視力
遠くの物がいかに鮮明に見えるか?という先天的に身に付くものが視力(sight)です。

視覚は、『見る』だけではなく目から入った感覚情報を脳が判断して、理解して、行動に移すまでの全ての処理過程です。

視力と違って、成長する過程で後天的に学び身につけるものが視覚(vision)です。
後天的に学び身につけるものですので、ビジョンはトレーニングによって機能を向上させることができます。

ビジョンを構成する能力

『静止視力』

遠くを見る能力

『動体視力』

動いているものを見る能力

『周辺視力』

視野の端に映る情報をキャッチする能力

『感覚統合能力』

他の感覚器と協調して働く能力

『眼球運動能力』

目標に視線をすばやく向けたり、固定したりする能力

『視覚性反応力』

すばやく反応して適切な行動を起こす能力

『視覚化能力』

動きを頭の中に思い描く能力

『思考力』

総合運動思考などの大きい筋肉の活動をコントロールする技術、弁別運動思考などの特別な操作技術、勉強や仕事場で成功するための細かい動作をコントロールする技術。
その他に視覚思考、聴覚思考、社会思考、論理的思考など

『深視力・立体視能力』

距離感・位置関係を判断する能力

他にもまだありますが、このように

  • 感覚機能
  • 運動機能
  • 情報処理機能

の、いろいろな能力が全て動員されるのがビジョンということです。

入力→情報処理→出力までがvision

ビジョン機能が低下しやすい現代社会

サーカディアンリズムといって、人間は太陽光によって交感神経の働きが高まっていき活動し、夜暗くなってくると副交感神経の働きが強くなっていって寝るという自律神経のバランスがあります。
しかし年がら年中明るくなりがちじゃないですか?現代って。
これは自律神経機能を乱すので色々な不調に見舞われます。
主に交感神経は緊張、副交感神経はリラックスの働きがあるので、ずっと交感神経が働いてると神経的に休息できていないので疲れます。
脳は『休んでよー。』というサインを出してきます。一応、こいつは言えばわかる奴かもということで、最初優しくサインを出してきます。
『疲れた』
というサインです。

ここでサインを無視して休まなかったとします。仕事やなんやで休みたくても休めないことも多いでしょう。
すると脳は『こいつ、優しく言ってもわからんやつやな。』となり、強めの主張をしてきます。
痛みです。
人間は目の奥と腰に痛みを感じる能力が高く設計されています。
なぜならそこを抑えられると活動できないからです。脳はかしこいですね。

なので目の奥や頭痛、腰痛となって、キャパオーバーのお知らせをしてくれます。
夜なのにいつまでも明るくしてたり、テレビやスマホを見てると、交感神経が休まらず、脳は休息できないのですね。
眠らない街は人間に優しくないのです。

サーカディアンリズムの他にも自律神経が左右されることはたくさんあります。
呼吸は吸気優勢が交感神経、呼気優勢が副交感神経
筋肉の緊張は交感神経、弛緩は副交感神経
伸展は交感神経、屈曲は副交感神経

目で言えば、近くのものを見るのは副交感神経、遠くのものを見るのは交感神経
書き物やパソコン、スマホなど、ずーっと近くのものを見てると、これまた自律神経性の不調がでますよね。
自律神経の不調とは、慢性的な疲労、だるさ、めまい、偏頭痛、動悸、ほてり、不眠、便秘、 下痢、微熱、耳鳴り、手足のしびれ、口やのどの不快感、頻尿、残尿感など。
精神的な症状としては
不安感、疎外感、イライラ、やる気が出ない、憂鬱になる、感情の起伏が激しい、焦りを感じるなど。

遠くを見ようにも、都会はビルやマンションの立ち並ぶコンクリートジャングルですし、会社や自宅の環境も顔をあげればすぐに壁なんてことも多いでしょう。

ですので、環境設定というのは体を守るためにも能力を上げるためにも非常に重要になってきます。
テレビや机や照明の位置、生活習慣、メガネなどに工夫が必要です。

反射光 vs 透過光

人間は発光するものを直接見るようにデザインされていないのです。紫外線や400nm~420nmの帯域のブルーライトは眼にとって毒です。太陽を直接見ると具合が悪くなりますが、太陽の光に照らされたものを見ることで脳は必要な刺激を受け取ります。
読書などは太陽や照明によって照らされた反射光によって認識しているので、脳の前頭葉と呼ばれる部分が強く反応します。
反対にテレビやパソコンなどの透過光と呼ばれる、対象そのものが発光するものは、前頭葉があまり反応しません。
前頭葉は感情、注意、思考などの精神作用や、随意運動の中枢だったりと、人間が人間らしくあるための機能の司令官です。そこに活性が起きにくいのです。

スマートフォンが普及しました。便利ですし退屈しのぎにもなるので、1日中見てるという人も多いでしょう。
自律神経に負荷はかなりかかるし、ずっと距離が近いので、目はめちゃくちゃ疲れます。
1時間PCを見続けると眼圧が8%も上がります。

色々な実験の結果が出ていまして、スマホやタブレットなどの透過光のデバイスで読むのと、反射光の紙で読むのとでは、記憶の残り具合や文章の間違いに気付く率などがダントツで反射光の紙の方が高いのです。
反射光に比べて透過光は認知的な負荷が高くなっていることから、被験者の疲労やストレスのスコアが優位に高いことも結果にでました。

実際、高校の授業でタブレットを導入した学校は、あまりに偏差値が下がってきた為、紙ベースに戻すという事態が多発しております。

勉強は紙ベースで、スマホを見る時間は極力少なくしたいものですね。
なんてことをこの長いblogをスマホやPCで読ませながら言うなと突っ込んだことでしょう。
僕もすごいストレスと目の疲れと戦いながらキーボードを打っています。。。。

結局、ビジョントレーニングで何を達成したいのか?

ビジョンは成長の過程で後天的に学んで身に着けるものということでしたが、獲得不十分なままに次のステージに行ってしまった場合、これはとても生き難いことになるのです。

  1. 水平に並んだ文字列を追えないのに、本を読んで理解しないといけない。
  2. 理解するのに時間がかかるのに、仕事では効率を求められる
  3. 目からの感覚が不十分な為、脳は危険と判断し緊張を生み、上手に動けない
  4. すぐにつかれる、痛みがでる。
  5. もうざっくり言ってしまえば、人間としての機能が低い

なんてことを、ビジョントレーニングで改善していこうという試みです。
もちろんビジョンだけでこれら全てが改善されるわけではありませんが、人間の感覚情報は目に90%頼っているので、伸びしろとしてはかなりあるわけです。

使われなくなった機能は失われていきます。寝たきりの人が歩けなくなったり。
神経のネットワークは使われなければ1週間で25%も減るとのことです。
ビジョントレーニングをすることで、新しい神経ネットワークを構築することが、生きやすくなるための手助けになると思います。

セミナー情報

現在決まっているところでは、

大阪、名古屋、仙台、福岡、愛媛、東京 → 詳細